出 血


 脳の中の血管が切れると、当然出血が起こります。脳は硬い頭骸骨に囲まれ

ていますので、出血するとその量の多少にかかわらずその部分の圧力が急速

にたかまり、脳の細胞を壊します。そのことによって片麻痺、意識障害などの症

状を起こします。これが脳出血という病気です。


 出血は、起きる場所=領域によって、いくつかに分けられます。


()出血 血管が脳の中に進入してからきれます。切れる理由は

やはり動脈硬化です。コレステロールが血管の細胞の血液循環を止めてしまい、

その領域の血管を弱くします。そこに動脈は凄い圧力で液を送ってくるので、

ピューッ、ピューッと血がでます。あっという間に血のプールが出来ます。プール

の周りの脳も圧力をうけて血が止まってしまいます。頭蓋内全体の圧力が高く

なる頭蓋内圧亢進 と、意識が無くなり、あるいは大脳が後ろに膨らんで

脳ヘルニアをおこし、生命をなくします。脳卒中の典型です。


軽症の場合とくに前大脳動脈の出血などでは、認知症に見えることも多い

です。すぐCTを撮って出血を確認する必要があります。MRIなどが良いという

人もありますが、すぐに出来る、結果がすぐわかるところにCTの良さがあります。

小野田内科でもこういう患者が何人もいます。



くも膜下出血
 脳は3枚の膜に包まれています。一番外で頭蓋骨にくっ

ついている硬膜、一番中で脳にくっついてはなれない軟膜、二枚の膜に挟まれ

た、血管の多いくも膜です。この血管が切れると血のプールが脳を外側から圧

迫することになります。この領域は、神経があるので、くも膜下出血の第一の

症状は頭痛です。並みの痛みではなく、ハンマーで叩かれたよう、とか生まれ

てから初めての痛みと言います。死亡率はきわめて高いです。この場合髄液が

血の色で少し黄色になるので(キサントクロミー)、背中から髄液採取をするの

が普通でした。しかしそのことにより大脳ヘルニアを誘発する危険があるので、

もうしません。CTではっきり分かります。




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